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※一※ （名）

(1)いえ。 建物。

「我が～」「蚕(コ)～」「～並み」

(2)屋根。

「～の上には糸を染めて色々葺(フ)かせて/竹取」

※二※ （接尾）

名詞に付く。

(1)商売を営む家の屋号として用いる。

「木村～」「三河～」

(2)その職業を営む人や家を表す。

「八百～」「魚～」「本～」「米～」

(3)それを専門としている人をさしていう。 時に， 軽蔑・自嘲の意をこめても用いる。

「技術～」「政治～」

(4)そのような性質をもつ人を表す。

「気取り～」「わからず～」「さびしがり～」「がんばり～」

(5)役者の屋号， 文人などの雅号として用いる。 また書斎の名などにも添える。

「音羽～」「鈴廼(スズノ)～」

(1)（ア）人が住むための建物。 住居。 家屋。

「立派な構えの～」（イ）自分のうち。 我が家。 自宅。 「～へ帰る」「～の者が待っている」（ウ）生活の中心となる場所。 家庭。 所帯。 「結婚して～をもつ」

(2)（ア）夫婦・親子・兄弟などからなる生活共同体。 社会を構成する最小単位。 家族。 「～を支える」（イ）民法旧規定において， 一家として戸籍に登録された親族の団体。 戸主とその統率を受ける家族から構成され， 戸主は戸主権に基づいて家族の居所指定や身分行為の許諾などを行なった。 現行民法の実施により廃止されたが， 戸籍制度や社会慣習に現在もその影響が残る。 家制度。

(3)祖先から子孫へと， 血縁によってつながる家筋・家系。 それによって守り伝えられた伝統・技芸・財産なども含めていう。

「～を継ぐ」「武芸の～」

(4)鏡・茶器などの器物を入れる容器。

(5)「家地(イエジ)」に同じ。

(6)立派な血統。 名門。

「愚かにつたなき人も～に生れ時にあへば高き位に登り/徒然 39」

(7)「妻」の婉曲(エンキヨク)な表現。

「左大臣の～， 昔よりよろしからず心聞ゆる人なり/宇津保（忠こそ）」

(8)（出家に対し）在家。 俗世間。

「～にあり， 人に交はるとも後世を願はんに難かるべきかは/徒然 58」

(9)書名（別項参照）。

〔漢書（貢禹伝）〕

どの家もどの人も皆富裕な生活をしている。 世の中が安定しているたとえ。

家の格が高い。 立派な家柄である。

「なほ～・う人のおぼえ軽からで/源氏（行幸）」

〔礼記（王制）〕

五〇歳をいう。

「身を隠して年も～頃なれば/浮世草子・永代蔵 6」

〔宝鑑〕

貧しい家には孝行な子供が出て， 家を助ける。 また， 逆境に陥ったとき， それを助ける者があらわれる。

家を留守にする。

〔「出家」の訓読み〕

仏門に入る。

「五十(イソジ)の春を迎へて， ～・で， 世を背(ソム)けり/方丈記」

自分の家に落ち着いていない。 外出がちである。

「～して出歩いてばかりいる」

〔「うち（内）」と同源〕

(1)家屋。 人が住むための建物。

「空き地に～が建った」

(2)（ア）自分の家庭。 我が家。

「～ではみな六時に起きる」「～の者は朝から出かけてしまった」（イ）（一般的に）家庭。 家族の住んでいる場所。 「あなたの～では正月にどんな料理を作りますか」「そろそろ～に帰りなさい」

外出や外泊をして家にいない。

〔呉音〕

氏・姓・官職・称号などに付いて， それに所属するものの意を表す。 また尊敬の意を添える。

「平～」「豊臣～」「将軍～」「伯爵～」「仏～」

長編小説。 島崎藤村作。 1911年（明治44）刊。 由緒ある二つの旧家の没落する過程をたどり， 家族制度の因習や宿命的な血の問題を描く。