フランシスコ教皇の葬儀 各国首脳が参列へ 停戦めぐる外交は
2025-04-25 21:31:12

今月21日に死去したローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇の葬儀は、26日午前10時、日本時間の26日午後5時から始まり、バチカンのサンピエトロ大聖堂前の広場で追悼のミサが行われます。
その後、フランシスコ教皇の遺体は、遺書に従って歴代教皇の多くが埋葬されてきたバチカンのサンピエトロ大聖堂ではなく、ローマ市内のサンタマリアマッジョーレ大聖堂に埋葬される予定です。
教皇は遺書の中で、墓についても質素なものを望む意思を記しています。
ローマ教皇庁によりますと、これまでに弔問に訪れた人は25日夜までに25万人にのぼったほか、地元メディアは葬儀当日は世界各地から数十万人が訪れるという見通しを伝えています。
フランシスコ教皇は生前、各地の紛争の解決や対話を訴え、亡くなる前日もウクライナで公正で永続的な平和が実現するよう呼びかけていました。
教皇の葬儀にあわせ、トランプ大統領やゼレンスキー大統領など、各国の首脳によってウクライナの停戦をめぐる外交が展開されるかどうかも焦点です。
130の外交団が参列の見通し
葬儀には、各国から多くの首脳や王室の関係者などが参列します。ローマ教皇庁は、これまでに130の外交団が参列する見通しだとしています。
公式の発表やメディアの報道によりますと
トランプ大統領とゼレンスキー大統領に加えて
▽国連のグテーレス事務総長
▽EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長
▽イタリアのメローニ首相
▽フランスのマクロン大統領
▽イギリス王室のウィリアム皇太子やスターマー首相
▽ドイツのショルツ首相などの参列が予定されています。
▽教皇の出身国であるアルゼンチンのミレイ大統領も参列する予定です。
日本からは、岩屋外務大臣が参列します。
ロシアはリュビモア文化相を派遣すると発表しました。
またバチカンは、台湾がヨーロッパで唯一、外交関係を維持している国で、
台湾外交部は元副総統の陳建仁氏を派遣すると発表しています。
トランプ大統領「多くの指導者と会う」
アメリカのトランプ大統領は、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇の葬儀に参列するため、現地時間25日夜、日本時間の26日6時ごろイタリアの首都ローマ近郊の空港に到着しました。
出発に先立ち、トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し「葬儀に参列するためローマに向かう。敬意を表すためだ」と述べました。
その上で「多くの外国の指導者とも会うことになる。彼らは会いたがっている」と述べて、各国首脳らと意見を交わす見通しだとしています。
ことし1月に2期目のトランプ政権が発足して以降、トランプ大統領が外国を訪れるのは初めてです。
埋葬までの流れを簡素化
教皇の死後に行われる一連の儀式は、葬儀の規則を定めた典礼書に沿って行われます。
フランシスコ教皇は去年4月にこれを改訂し、埋葬までの流れを簡素化しました。
教皇の遺体はこれまでイトスギのひつぎに入れられたあと、鉛のひつぎ、それに、かしのひつぎを重ねる形で納められていましたが、今回は鉛の内張りが施された木製のひつぎのみとなっています。
バチカンのサンピエトロ大聖堂では、ひつぎのふたを開けた状態で弔問が行われ、葬儀の前日にふたが閉じられます。
26日、現地時間の午前10時からサンピエトロ広場で執り行われる葬儀の際には聖歌がささげられ、その後ひつぎが墓に移されます。
フランシスコ教皇は2022年6月29日付けの遺書で、歴代教皇の多くが埋葬されてきたバチカンのサンピエトロ大聖堂ではなく、ローマ市内のサンタマリアマッジョーレ大聖堂に埋葬し、墓についても質素なものを望む意思を記しています。
ローマ教皇庁によりますと、教皇の遺体はこの遺書に従って埋葬される予定で、墓には名前のみが記された墓石と、教皇が胸に下げていた十字架の複製だけが刻まれているということです。
そして、26日から来月4日までの9日間が喪に服す期間と定められ、期間中は毎日、教皇への祈りがささげられます。
新教皇を選ぶ「コンクラーベ」候補は
フランシスコ教皇の死去を受け、教皇に次ぐ地位にある枢機卿たちによって新しい教皇を選ぶ選挙「コンクラーベ」が近く、行われることになります。
「コンクラーベ」は80歳未満の枢機卿たちが投票できる選挙で、原則として教皇の死去から15日から20日後までに始まることになっています。
このため今回のコンクラーベは、来月6日から11日の間に始まる可能性が高いという見方が出ていますが、枢機卿が集合していれば開始を早めることも可能で、正式な日程は今後、枢機卿たちが会議で決定します。
教皇は慣習的に枢機卿の中から選ばれますが、誰が次の教皇になるかをめぐっては、キリスト教徒が多い国のメディアを中心に有力候補とされる複数の人物の名前が取りざたされています。
この中には
▽フランシスコ教皇の側近の国務長官を務め、外交も担ったピエトロ・パロリン枢機卿や
▽フランシスコ教皇の特使としてロシアやウクライナを訪問したマッテオ・マリア・ズッピ枢機卿の名前などがあがっています。
また
▽フィリピン出身のルイス・アントニオ・タグレ枢機卿は「アジアのフランシスコ」と呼ばれるなど教皇との距離が近く、選出されればアジア出身者で初めての教皇となるほか
▽アフリカのガーナ出身のピーター・タークソン枢機卿もサハラ砂漠より南にある国の出身者で初めての教皇の候補として、いずれも注目を集めています。
投票はバチカンのシスティーナ礼拝堂で行われ、新しい教皇が決まると礼拝堂の煙突から白い煙があがり鐘が鳴らされることになっています。