昔、由布山と九住山という二つの山の精がいました。二人は美しい鶴見山の姫を好きになりました。由布山の精は、鶴見山の姫と小さいころから友だちで、ずっと姫のことが好きでした。ある秋の日、九住山の精が旅をしていて、鶴見山の姫の家に泊まりました。九住山の精は、姫を見てすぐに好きになり、「私の妻になってください」と言いました。姫はその言葉に心を動かされ、結婚の約束をしました。九住山の精はうれしくて、自分の国に帰り、結婚の準備を始めました。由布山の精はとても悲しくなりました。でも、姫にきれいなききょうの花と手紙を送りました。「遠くに行っても、この山の花を忘れないでください」と書きました。姫は由布山の精のやさしさを思い出し、自分も由布山の精が好きだと気づきました。姫はすぐに由布山の精のところへ行きました。次の日、九住山の精が姫をむかえに来ましたが、姫はいませんでした。姫からの手紙を読んで、九住山の精はさびしい気持ちになりましたが、何も言わずに帰りました。その時の九住山の涙が、今の志高湖になったと言われています。今でも由布山と鶴見山は仲よく並んでいます。