長崎県の時津町の近くに、山の中にある岩の話です。
昔、権助という男の人が、海で魚のサバをたくさんとりました。権助は、サバを売るために山の道を通って、長崎の町へ行くことにしました。道を登っていくと、大きな岩がありました。岩の上に、もう一つ大きな岩が乗っていました。
岩はグラグラ揺れて、今にも落ちそうでした。権助は、行こうか、戻ろうか、何度も考えました。考えているうちに夜になりました。サバは腐ってしまいました。
村の人は、「この岩は、揺れても絶対に落ちない。知らなかったのは、怠け者の権助だけだ」と笑いました。そして、この岩を「サバくされ石」と呼ぶようになりました。
今でもこの岩は、森の中に見えるそうです。