LA移民摘発めぐる抗議デモ 衝突や略奪拡大 海兵隊700人配備か
2025-06-10 23:39:16

トランプ政権は先週からロサンゼルス周辺で滞在資格のない移民の一斉摘発を進めていて、ロサンゼルス市などによりますと9日も移民税関捜査局が移民が集まるホームセンターなど少なくとも5か所で捜索を行ったということです。
これに対し、抗議デモの参加者の一部は9日、夜に入って警察と衝突し、中心部のダウンタウンでは複数の店舗で混乱に乗じた略奪行為も行われました。
ロサンゼルスのバス市長は10日の会見で市の警察当局を中心に十分な態勢をとっていると強調したうえで「根本的な解決法はトランプ政権が移民税関捜査局による捜索をやめることだ。しかしこうした捜索はさらに30日間続く可能性があると聞いている」と述べ、社会不安が長引くことに懸念を示しました。
こうした中、アメリカメディアは10日、トランプ大統領の指示を受けた海兵隊の兵士700人がロサンゼルスに到着したと伝えました。
海兵隊の兵士が暴動をおさえるためとして国内に派遣されたのは、1992年の「ロサンゼルス暴動」以来で、異例の事態となっています。
これに加えて、カリフォルニア州のニューサム知事は9日、トランプ大統領が追加で2000人の州兵をロサンゼルスに派遣するとの連絡を受けたとしていて、混乱の収束につながるのかが焦点となっています。
トランプ大統領 “状況が安定するまでは兵士が居続ける”
トランプ大統領は10日、ホワイトハウスで記者団に対し、現地では一部で暴徒化した人たちがコンクリート片をパトカーに投げつける様子が見られたと非難したうえで「ロサンゼルスではまさに反乱とさえ呼べるような状況があった。それはひどいものだった。彼らは金で雇われた暴徒たちで、金をもらっている」と主張しました。
そして、記者団から「州兵はいつまで配置されるのか」と問われたのに対し「危険がなくなれば彼らは撤収する」と述べて、現地の状況が安定するまでは兵士が居続けるという考えを示しました。
そのうえで「毎晩、見ていれば、暴徒は減っている。彼らは非常に強力な部隊と対じしている」と述べて、政権の対応が効果を上げていると強調しました。
また、トランプ大統領は「オリンピックが近づいている。ひどい状況のロサンゼルスを見せたくない」と述べ、ロサンゼルスで2028年にオリンピック・パラリンピックが開催されることを踏まえ、早期の事態の収束が必要だと強調しました。
一方で、自身の誕生日でもある今月14日に首都ワシントンでアメリカ陸軍の創設250年に合わせた軍事パレードが予定されていることに関連して「抗議活動を行う人がいた場合には非常に強力な力で対処される。私は抗議についてこれまで聞いていないが、われわれの国を嫌っている人たちであり、非常に強い力で対処される」と述べ、抗議活動に対して厳しい対応をとる考えを示しました。
米国防長官 “州兵や海兵隊の派遣は正当”
アメリカのヘグセス国防長官は10日に議会の公聴会に出席し、「連邦の法執行機関である移民税関捜査局は国内のどの州でも、どんな管轄区域でも安全に任務を遂行する権利がある」と述べ、滞在資格のない移民の摘発は必要だという考えを示しました。
そのうえで「捜査官が安全に職務を遂行するために州兵と海兵隊を派遣した。ロサンゼルスの警察のトップが手に負えないというから支援した。部隊はすべて現地で実行すべき任務について十分な訓練を受けている」と述べて、州兵や海兵隊を派遣するというトランプ大統領の判断は正当だと強調しました。