岩手 北上 クマに襲われたか 81歳女性が死亡 被害相次ぐ
2025-07-04 08:33:09

4日7時半ごろ、岩手県北上市和賀町の住宅でこの家に住む高橋成子さん(81)が血を流して倒れているのを訪ねてきた息子が見つけ、警察に通報しました。
警察官と救急隊が駆けつけたところ、高橋さんは居間で倒れていて、その場で死亡が確認されました。
警察によりますと高橋さんは全身にひっかかれるなど動物の爪によるとみられる傷があるほか、住宅にはクマとみられる動物の毛が落ちていたということで、警察はクマに襲われたとみて詳しい状況を調べています。
現場はJR北上線の横川目駅から南におよそ900メートル離れた畑が広がり、住宅が点在する地域で、周辺では、ここ数日、クマが住宅や倉庫などに侵入し、コメを食い荒らす被害が相次いでいます。
現場の住宅の前には規制線が張られ、警察官が住宅に出入りしている様子が確認できました。
また、パトカーや市の広報車両が周辺の地区をまわって、クマに注意するよう住民に呼びかけていました。
警察は、わなを設置して捕獲を試みるとともに、住民に対して不要不急の外出を控え、安全を確保するよう呼びかけています。
現場周辺で被害相次ぐ
警察によりますと、現場の住宅がある岩手県北上市和賀町の山口地区では、先月以降、今月3日までにクマの住宅や小屋などへの侵入があわせて9件確認されています。
最初は先月3日に車庫の中でクマが確認され、先月26日に温室の中がいるのが目撃されました。
その後、先月30日から今月3日までの4日間に、あわせて7件、小屋や住宅の中に入り込んでいるのが集中して確認されています。
このうち3件でコメを食い荒らされる被害が起きています。
今月1日に小屋でコメを食い荒らされる被害が起きた住宅では、午前と午後の2回、クマが侵入していました。
北上市が避難所開設
北上市によりますと、現場の住宅がある和賀町山口地区では、クマが住宅や倉庫などに侵入し、コメを食い荒らすなどの被害が3日まで4日続けて発生しています。
市は、4日正午に危機対策本部を設置し、付近の学校に児童や生徒の安全確保を要請するとともに、地区にクマを捕獲するためのわなを設置しました。
また、和賀地区交流センター、岩崎地区交流センター、和賀町総合福祉センターに避難所を開設し、高齢の1人暮らしなどで不安な場合は避難するよう呼びかけています。
現場近くの施設の理事「まさか人を襲うとは」
現場近くで市の宿泊研修施設を運営する財団の阿部英志専務理事は、「付近で頻繁にクマの目撃情報があるのは知っていたが、クマは人を見ると逃げていくと聞いていたので、まさか人を襲うところまでいくというのは想定外だ。クマが戸を開けたり倒して侵入したりする事例も聞いているので、正直なところ有効な対策が思いつかないが、とにかく戸締まりを徹底するしかない」と話していました。
避難所のセンター長 「不安な人は避難を」
岩手県北上市が開設した避難所の1つ、岩崎地区交流センターの佐々木清人センター長は「大変なことが起きたと非常に驚いている。近くには学校もあるので子どもたちに被害がないか心配だ。万全の態勢をとって避難所を開設しているので、少しでも不安な人は避難してほしい」と話していました。