高知県の山の中の村に、夜にうどんを売る店がありました。鈴を鳴らしながら、優しいおじいさんが店を引いてきます。
ある夜、着物を着たきれいな女性がうどんを食べに来ました。次の夜も、また次の夜も、村で見たことがない人が来て、うどんを3杯も4杯も食べて帰りました。しかし、客が払ったお金は、次の日になると木の葉になっていました。
村の若い男の人は、おじいさんがかわいそうだと思いました。ある夜、男の人は怪しい客の着物に火をつけました。すると、客は驚いて、たぬきの姿に変わりました。男の人は、たぬきを強く殴りました。たぬきは逃げて行きました。
次の年、またうどんの店が来る季節になりました。男の人が外を見ると、6匹の子どものたぬきが鈴の音のように鳴いていました。死んだ母親のたぬきのことを思い出しているようでした。男の人は、かわいそうなことをしたと思って泣きました。