消息

ある家いえに、兄あにと弟おとうとがいました。兄あには働はたらかないで遊あそんでばかりいました。父ちちは兄あにを家いえから出だしました。父ちちが亡なくなると、弟おとうとは母ははを親戚しんせきに預あずけて、江戸えどに働はたらきに行いきました。弟おとうとは10年ねん働はたらいて、たくさんのお金おかねをためました。そして母ははを迎むかえに帰かえることにしました。
弟おとうとは山やまの中なかを急いそいで歩あるいていると、山賊さんぞくに襲おそわれました。お金おかねも着物きものも全部ぜんぶ盗ぬすまれました。弟おとうとは、しばらく山賊さんぞくの仕事しごとを手伝てつだいました。山賊さんぞくは、もう一度ど江戸えどに行いって働はたらきたいという弟おとうとに、古ふるい刀かたなを渡わたしました。
弟おとうとは江戸えどで、もらった刀かたなを売うりました。たくさんのお金おかねになりました。弟おとうとはまた、母ははを迎むかえに行いきました。
その途中とちゅう、山賊さんぞくの家いえに行いって、刀かたなを売うってできたお金おかねの半分はんぶんを渡わたしました。すると、山賊さんぞくの親方おやかたは「私わたしはあなたの兄あにだ。子どもこどものとき悪わるいことばかりして、家いえを出だされて山賊さんぞくになった」と言いいました。兄あには、弟おとうとと一緒いっしょに帰かえりました。そして、母ははと3人にんで仲なかよく暮くらしました。