熊本県の小岱山という山の中に、大きな山男が住んでいました。
あるとき、山男は山に食べ物がなくなったので、村に行くことにしました。途中で大きな岩を見たら、おにぎりが置いてありました。村の人たちが山の神様のために置いたおにぎりでした。山男は毎晩おにぎりを食べました。村の人たちは「神様が食べているのだろう」と思いました。
次の年、雨がなかなか降らなくて、村の人たちはお米を作ることができませんでした。おにぎりも小さくなっていきました。山男はおなかがすいて、村に行きました。正直な十兵衛さんの家を見ていると、十兵衛さんは白いご飯を食べていました。山男は怒って、村の人たちに「十兵衛さんは自分だけ白いご飯を食べています」と言いました。
村の人たちが調べると、十兵衛さんのご飯は白いおからで、十兵衛さんのお母さんのご飯はあわだけでした。山男は「神様に雨を降らせてもらいます」と言って、山に帰りました。次の日、雨が降りました。
この岩は「米噛石」と呼ばれるようになりました。